食、憐れ
回る。
廻る。
クルクル廻る。
大きな塊。
肉のカタマリ。
廻る力に耐え切れられずに
離れる、散らばる
朱色の肉が。
辺り一面香る臭い。
気絶か死か
失うモノは次に目覚めるまで
わかるものか。
少女の口に笑みがこぼれる。
快楽、空腹。
二本の螺旋が彼女を動かす。
壊れているが故の正気の心。
さあ、今日も彼女の食事が始まる。
昔バグを意識的に生み出し、操作する一族が存在していた。
それは遺伝子情報が異なる他人よりも、
酷似している同属に重きを置くことでバグの発生を固定するというモノであった。
類稀なる力を手に入れる代わりに一生は儚い。
予め定められている破滅の道を知りながらも
この一族は幾度となく繰り返していく。
何度も何度も、、、。
その行為が一族の中でありふれた事になった時、
異変が起きた。
ある双子が血の契を交わした所、一人の子供を授かったわけだが
成人の儀を執り行ってから成長の気が感じられなくなってしまった。
一族は短命という長い呪縛から解放された、と喜んでいたのも束の間
その子供は一族を一人一人殺し始めていった。
そして、残ったのはその子供一人のみであった。
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